作並温泉の魅力と楽しみ方を地元目線で徹底解説
仙台の奥座敷と呼ばれる温泉地をご存知でしょうか。仙台市中心部から車でわずか40分ほどの山間に、1,000年以上の歴史を持つ静かな湯の里が広がっています。それが作並温泉です。
秋保温泉と並んで仙台の二大温泉郷として知られる作並温泉ですが、実際に足を運んでみると、その静けさと自然の豊かさに驚かされます。広瀬川の源流域に位置し、渓谷美に包まれた温泉街は、都会の喧騒を忘れさせてくれる特別な場所です。個人的に何度も訪れていますが、季節ごとに表情を変える景色と、肌にやさしい湯の感触は、何度体験しても新鮮な感動があります。
この記事で学べること
- 作並温泉は開湯約1,200年の歴史を持ち「美女づくりの湯」として古くから親しまれている
- 仙台駅からJR仙山線で約40分とアクセスが良く日帰りでも十分楽しめる
- 泉質はナトリウム・カルシウム硫酸塩泉で肌あたりがやわらかく美肌効果が期待できる
- ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所など温泉以外の観光スポットも充実している
- 四季折々の渓谷美を楽しめるため訪問時期によってまったく異なる魅力がある
作並温泉の歴史と由来
作並温泉の開湯は、奈良時代にまで遡ると伝えられています。
行基菩薩が東北巡錫の際にこの地の湯を発見したという伝説が残っており、その歴史は約1,200年に及びます。また、源頼朝の奥州征伐の折に家臣がこの温泉で傷を癒したという記録もあり、古くから湯治場として利用されてきました。
江戸時代に入ると、仙台藩の湯治場として本格的に整備されます。藩主・伊達家の御殿湯としても使われ、藩士や領民に広く親しまれるようになりました。「美女づくりの湯」という別名は、この時代から伝わるものです。肌にやわらかな泉質が、湯上がりの肌をなめらかに整えることから、そう呼ばれるようになったと言われています。
明治以降は、文人墨客にも愛される温泉地となりました。正岡子規や土井晩翠など、多くの文化人がこの地を訪れ、作品の着想を得たとされています。
山懐に抱かれた作並の湯は、仙台藩の時代から「御殿湯」として大切にされてきた歴史ある名湯です。その静けさと泉質の良さは、現代においても変わることなく訪れる人を癒し続けています。
作並温泉の泉質と効能

作並温泉の泉質は、主にナトリウム・カルシウム—硫酸塩泉に分類されます。
無色透明で、ほのかに硫黄の香りが漂う湯は、肌あたりが非常にやわらかいのが特徴です。実際に入浴してみると、とろみのある湯が肌をやさしく包み込むような感覚があります。湯上がりの肌がしっとりと潤うのを実感できるでしょう。
期待できる効能
温泉の効能として一般的に認められているものには、以下のようなものがあります。
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、慢性消化器病、冷え性、疲労回復などが挙げられます。特に「美肌効果」については多くの入浴者が実感しており、肌のキメが整い、しっとりとした仕上がりになると評判です。
源泉温度は施設によって異なりますが、おおむね38〜62度程度。ぬるめの湯にゆっくり浸かる湯治スタイルが、この温泉の伝統的な楽しみ方です。
湯治と日帰り入浴の違い
作並温泉では、宿泊しての湯治と日帰り入浴の両方が楽しめます。
湯治の場合は、ぬるめの湯に1日数回、数日間にわたって浸かることで、温泉の効能をじっくりと体に浸透させます。一方、日帰り入浴でも十分にリフレッシュ効果は得られます。経験上、日帰りの場合でも最低2〜3時間は滞在時間を確保すると、温泉の良さをしっかり味わえると感じています。
作並温泉の主要旅館と宿泊施設

作並温泉には、それぞれ個性の異なる宿泊施設が点在しています。規模や雰囲気、温泉の特徴もさまざまなので、目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
岩松旅館
作並温泉を代表する老舗旅館のひとつです。創業は江戸時代にまで遡り、広瀬川の渓流沿いに建つ風情ある佇まいが特徴的です。最大の魅力は、渓流のすぐそばに設けられた天然岩風呂。川のせせらぎを聞きながら入る露天風呂は、まさに自然と一体になる体験です。館内には複数の浴場があり、それぞれ異なる趣を楽しめます。
渓流沿いの天然岩風呂が圧巻
老舗温泉旅館
作並駅から送迎バス約5分
¥12,000〜25,000(1泊2食付)
大人1,500円前後
天然岩風呂・渓流露天
紅葉シーズンの平日がおすすめ・渓谷の紅葉を眺めながらの入浴は格別です
ゆづくしSalon一の坊
作並温泉のなかでも、特にモダンで洗練された雰囲気を持つ宿です。オールインクルーシブのスタイルを採用しており、チェックインからチェックアウトまで追加料金を気にせず、食事やドリンク、各種アクティビティを楽しめます。3つの源泉から引かれた湯を使った複数の浴場があり、なかでも自然に囲まれた露天風呂「広瀬川源流露天風呂」は開放感抜群です。
オールインクルーシブで贅沢な滞在
モダン温泉リゾート
作並駅から送迎バス約5分
¥20,000〜40,000(1泊・オールインクルーシブ)
日帰りプランあり(要確認)
3源泉・オールインクルーシブ
カップルや女性グループにおすすめ・館内で一日中過ごせる充実の設備です
鷹泉閣 岩松旅館(本館・別館)
作並温泉のなかでも特に歴史が深く、創業から200年以上の伝統を誇ります。本館と別館で趣が異なり、本館はより歴史的な雰囲気を、別館はリニューアルされた快適さを提供しています。名物の混浴大岩風呂は、自然の岩をそのまま活かした野趣あふれる造りで、作並温泉の原風景を今に伝えています。
La楽リゾートホテル グリーングリーン
家族連れに人気のリゾートホテルです。温泉だけでなく、プールやゲームコーナーなどのレジャー施設が充実しており、子どもたちも飽きることなく過ごせます。バイキング形式の食事も好評で、宮城の地元食材を使った料理が豊富に並びます。カジュアルに温泉旅行を楽しみたい方に向いている施設です。
作並温泉へのアクセス方法

作並温泉は仙台市内にありながら、山間部に位置するため、アクセス方法を事前に把握しておくと安心です。
電車でのアクセス
最寄り駅はJR仙山線の作並駅です。仙台駅から作並駅までは約40分。仙山線は本数がそれほど多くないため、事前に時刻表を確認しておくことをおすすめします。作並駅からは各旅館の送迎バスを利用するのが一般的です。送迎バスは事前予約制の場合が多いので、宿泊予約時に合わせて手配しましょう。
仙台駅でJR仙山線に乗車
山形方面行きの仙山線ホームへ。快速は停車しない場合があるので各駅停車を選びましょう。
作並駅で下車(約40分)
無人駅の場合もあるため、ICカードの残高確認をお忘れなく。
旅館の送迎バスで温泉街へ
事前に宿へ到着時刻を伝えておくとスムーズです。徒歩だと温泉街まで20〜30分かかります。
車でのアクセス
仙台市中心部からは国道48号線を山形方面へ向かい、約40〜50分で到着します。東北自動車道を利用する場合は、仙台宮城ICから国道48号線に入るルートが便利です。
冬季は路面が凍結する区間があるため、スタッドレスタイヤの装着は必須です。特に12月から3月にかけては、天候の急変にも注意が必要です。各旅館には駐車場が完備されているので、駐車場所に困ることはほとんどありません。
バスでのアクセス
仙台駅前から作並温泉方面へ向かう路線バスも運行しています。ただし、便数は限られているため、電車か車でのアクセスが現実的です。バスを利用する場合は、最新の時刻表を仙台市交通局のウェブサイトで確認してください。
四季で変わる作並温泉の楽しみ方
作並温泉の大きな魅力のひとつが、四季折々に変化する渓谷の景色です。同じ温泉でも、訪れる季節によってまったく異なる体験ができます。
春(4月〜5月)
新緑が芽吹き始める春は、山全体がやわらかな緑色に染まります。広瀬川の雪解け水が増し、渓流の音も力強くなるこの時期。露天風呂から眺める新緑は、冬の疲れを洗い流してくれるような清々しさがあります。ゴールデンウィーク前後は山桜も見頃を迎えます。
夏(6月〜8月)
仙台市中心部よりも気温が数度低い作並温泉は、天然の避暑地です。深い緑に包まれた渓谷は涼しげで、川のせせらぎが心地よく響きます。夏場はぬるめの湯にゆったり浸かるのが気持ちよく、湯上がりに渓谷の風に当たる瞬間は最高のひとときです。
秋(9月〜11月)
作並温泉が最も美しいと言われるのが紅葉シーズンです。10月中旬から11月上旬にかけて、渓谷全体が赤・黄・橙に染まり、露天風呂から眺める紅葉は息をのむほどの美しさです。この時期は宿の予約が集中するため、1〜2ヶ月前には予約を入れておくことをおすすめします。
冬(12月〜3月)
雪見風呂を楽しめるのが冬の作並温泉の醍醐味です。静かに降り積もる雪を眺めながら、温かい湯に身を沈める贅沢。外気温との温度差が大きいぶん、温泉のありがたみをひときわ強く感じる季節でもあります。
季節別おすすめ度
作並温泉周辺の観光スポット
温泉だけでなく、周辺には魅力的な観光スポットがいくつもあります。宿泊の前後に立ち寄ることで、旅の満足度がぐっと高まります。
ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所
作並温泉からほど近い場所にある、日本を代表するウイスキー蒸溜所です。無料の工場見学ツアーが人気で、製造工程を学んだ後にはウイスキーの試飲も楽しめます。緑豊かな敷地内を散策するだけでも心が洗われるような体験です。ウイスキー好きはもちろん、そうでない方にも楽しめるスポットとして、温泉旅行と組み合わせる方が多いです。
見学は事前予約制なので、旅行の計画段階で予約しておくのがおすすめです。
鳳鳴四十八滝
国道48号線沿いにある、大小さまざまな滝が連なる景勝地です。「鳳鳴」の名は、滝の音が鳳凰の鳴き声に似ていることに由来すると言われています。紅葉の時期には特に美しく、ドライブの途中に立ち寄るのにぴったりのスポットです。
定義如来 西方寺
作並温泉から車で約20分の場所にある、縁結びのパワースポットとして知られるお寺です。名物の三角あぶらあげは、外はカリッと中はふわっとした食感が絶品。参拝後にぜひ味わっていただきたい一品です。この三角あぶらあげを目当てに訪れる方も少なくありません。
作並温泉のグルメと食の楽しみ
温泉旅行の楽しみのひとつが、その土地ならではの食事です。
作並温泉の各旅館では、宮城の食材を活かした料理が提供されています。仙台牛、三陸の海の幸、地元で採れた山菜やきのこなど、季節ごとに変わる食材が食卓を彩ります。
特に秋から冬にかけては、きのこ鍋や芋煮など、東北ならではの温かい料理が格別です。仙台牛タンを取り入れたメニューを提供している宿もあり、宮城の味覚を一度に楽しめるのも作並温泉の魅力のひとつです。
また、温泉街周辺には地元の食材を使った食事処もあります。旅館の食事とは違った、素朴な地元の味を楽しむのもおすすめです。
日帰り入浴で作並温泉を楽しむ方法
宿泊する時間がなくても、作並温泉の湯を楽しむことは可能です。
多くの旅館が日帰り入浴を受け付けており、料金は施設によりますが、おおむね500円〜1,500円程度で利用できます。ただし、日帰り入浴の受付時間は限られている場合が多く、午前10時〜午後3時頃が一般的です。事前に電話で確認してから訪れると安心です。
日帰りの場合でも、入浴後に周辺の観光スポットを回れば、十分に充実した一日を過ごせます。仙台市内からの日帰りドライブコースとしても人気があり、温泉でリフレッシュしてからニッカウヰスキー蒸溜所に立ち寄るルートは定番です。
作並温泉と秋保温泉の違い
仙台の二大温泉郷として比較されることが多い作並温泉と秋保温泉。それぞれに異なる魅力があります。
作並温泉の特徴
- 山深い渓谷に佇む静かな温泉街
- 宿の数が少なく落ち着いた雰囲気
- 渓流沿いの露天風呂が魅力
- ニッカウヰスキー蒸溜所が近い
- 自然との一体感を重視する方向け
秋保温泉の特徴
- 仙台市中心部からより近い立地
- 大型旅館やホテルが充実
- 秋保大滝や磊々峡などの景勝地
- 温泉街に飲食店や土産物店が多い
- 利便性と賑わいを求める方向け
簡単にまとめると、静けさと自然を求めるなら作並温泉、利便性と賑わいを求めるなら秋保温泉という選び方がわかりやすいでしょう。どちらも素晴らしい温泉地なので、両方を訪れてみて、自分の好みに合う方を見つけるのも楽しいかもしれません。
作並温泉を訪れる際の準備と持ち物
快適な温泉旅行のために、事前に準備しておくと良いものをまとめました。
作並温泉旅行の持ち物チェックリスト
山間部に位置するため、コンビニや商業施設は温泉街周辺にはほとんどありません。必要なものは仙台市内で揃えてから向かうのが賢明です。
よくある質問
作並温泉は仙台駅からどのくらいで行けますか
JR仙山線を利用した場合、仙台駅から作並駅まで約40分です。車の場合は国道48号線経由で40〜50分程度を見込んでおくと良いでしょう。冬季は路面状況により、さらに時間がかかる場合があります。作並駅からは各旅館の送迎バスを利用するのが一般的で、事前予約が必要な場合が多いです。
作並温泉で日帰り入浴はできますか
はい、多くの旅館で日帰り入浴を受け付けています。料金は500円〜1,500円程度で、受付時間は午前10時〜午後3時頃が一般的です。ただし、宿泊客の状況や繁忙期には受付を中止する場合もあるため、事前に電話で確認してから訪れることをおすすめします。タオルは持参するか、現地で購入・レンタルとなります。
作並温泉と秋保温泉はどちらがおすすめですか
目的によって異なります。静かな環境で自然に囲まれた温泉を楽しみたい方には作並温泉が、アクセスの良さや温泉街の賑わいを求める方には秋保温泉が向いています。作並温泉は渓谷沿いの露天風呂やニッカウヰスキー蒸溜所が魅力で、秋保温泉は大型旅館や周辺の観光施設が充実しています。どちらも仙台から日帰り圏内なので、両方訪れてみるのもおすすめです。
作並温泉のベストシーズンはいつですか
最も人気が高いのは紅葉シーズンの10月中旬〜11月上旬です。渓谷全体が色づく景色は圧巻で、露天風呂からの眺めは格別です。ただし、この時期は予約が集中するため、早めの手配が必要です。冬の雪見風呂、春の新緑、夏の避暑と、それぞれの季節に異なる魅力があるので、どの時期に訪れても楽しめます。
作並温泉周辺で温泉以外に楽しめるスポットはありますか
ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所(無料見学・試飲あり)、鳳鳴四十八滝(渓谷の景勝地)、定義如来 西方寺(縁結びの名所・名物三角あぶらあげ)などがあります。特にニッカウヰスキーの蒸溜所見学は事前予約制ですが、ウイスキーの製造工程を学べる貴重な体験として人気です。温泉と組み合わせることで、より充実した旅行プランになります。
まとめ
作並温泉は、仙台市内から気軽にアクセスできる距離にありながら、1,200年の歴史と深い自然に包まれた特別な温泉地です。
「美女づくりの湯」と呼ばれるやわらかな泉質、渓谷美を眺めながらの露天風呂、そしてニッカウヰスキー蒸溜所をはじめとする周辺の観光スポット。日帰りでも宿泊でも、それぞれの楽しみ方ができるのが作並温泉の懐の深さです。
都会の喧騒から離れて、ゆっくりと湯に浸かり、自然の音に耳を傾ける。そんなシンプルだけれど贅沢な時間を過ごしたい方に、作並温泉は静かに、しかし確かにその魅力を伝えてくれるはずです。
まずは日帰りで一度訪れてみてください。きっと、また戻ってきたくなる場所になると思います。